ACSP 一般社団法人コンピュータ教育振興協会

CADエンジニアの先輩に聞く

vol.14 豊原有紀子さん

2021.12.8

「毎日、仕事が楽しいんです」と笑顔で語る豊原有紀子さん。一度は全く違う仕事に就いたものの「CADの仕事をしたい」との思いから転職され、現在はCADオペレータとして活躍されています。

   


豊原有紀子さん
豊原有紀子さん

―早速ですが、現在、どのようなお仕事をされているのか教えていただけますか?

豊原さん: 土木測量会社で契約社員として働いています。会社は多岐にわたった事業を行っていますが、私は、主に写真や現場で測量した2次元や3次元データをもとに、2次元図面や3次元図面で、地図を作る仕事をしています。一部には3次元モデルのものがあります。

社内の人からお客様の依頼内容を聞き、求められているものに、どのソフトを使い、どういう工程で進めると、簡単で、綺麗で、早くできるのかを考え作成しています。

   

―CADで地図というのはあまり聞かない専門分野ですね。ソフトウェアはどのようなものをお使いなのでしょう?

豊原さん: 一般的ではない地図を作る専門のソフトです。今の会社でいろいろなソフトを使うようになり、AutoCADなども使っています。そういうCADソフトを使って、おお、こんなこともできるんだ!と見つけたりするのが楽しくて。休日に、無料トライアルの新しいソフトをダウンロードし、本を買って自分で勉強したり、自分でできないと思った時にはソフトの操作を習いに行くこともあります。

   

―お仕事もお好きそうですが、CADソフトそのものがお好きなのですね。

豊原さん: はい、好きですね。マニュアルを読みそのソフトの新しい機能を発見できると楽しいです。また趣味で、3Dプリンターでモノを作ったりしています。家庭用の3Dプリンターで、スマホスタンドや、3Dモデルのミニュチュアを作ってみたり。モデルをダウンロードして印刷するだけではなく、自分で作れたらいいな、というのが始まりです。そのためにFusion 360の操作を覚えました。

学生時代は思っていませんでしたが、試行錯誤してモノを作ることが好きなのだと最近気づきました。仕事でも好きなことをさせていただいているので、ありがたいと思っています。

   

―学校は今のお仕事と関連した専門だったのでしょうか?

豊原さん: いえ、美術系の学校で建築でもなかったのですが、CADを使った建築の平面図作成の講義がありました。最初の仕事をしてから、あれ面白かったな、と思い出し、CADをやってみたいと思い入った会社が以前勤めていた土木の会社でした。

   

―それでは土木の知識は会社に入られてから勉強されたのですね。大変でしたか?

豊原さん: 最初は大変だったと思うのですが、今となっては楽しくやっています。会社には土木の専門知識に長けている方が多く、お話を聞くととても勉強になります。ただそういう方はみなさんお忙しいのでなかなか機会がありませんが。

前の会社では言われた事をやる感じだったのですが、今の会社では、立場が違う事もあり、「どうしたらいいと思う?」と聞かれた事にどうやったらできるかを考えて提案しています。少し無理難題であっても「よし!やってやろうじゃないの!」というくらいの気持ちで考えるのが楽しいです。

   

―楽しく仕事されているのですね。特にこの仕事で良かったと思う事はありますか?

豊原さん: 良かったというか、だいたい常に楽しいと思っていますね。欲をいえばもっといろんなことをやりたい気持ちもあります。

   

―それでは逆に、難しいと思う事はありますか?

豊原さん: そうですね、設計関連の仕事が難しかったです。一度、3次元の設計関係の仕事が回ってきたことがありました。社内には設計に詳しい方もいるのですがどの方か分からず、ものすごく苦労したのを覚えています。お客様に教えていただいたり、何回も修正して納品することができました。知識がない分野の仕事が来たときにどう対応するのかが難しいです。

その時、今の私の仕事で求められているわけではないのですが、設計関連の知識も勉強する必要があると考え、また3次元CADを使う中で検定試験を受けたら勉強になると思いました。 

   

―試験のお話がでたので、3次元CAD利用技術者試験についてお聞かせください。

豊原さん: 先ほどの設計関連の仕事から、3次元を勉強できるものがないかと調べてこの試験を見つけ、まずは2級(筆記)を受けました。2級の用語も勉強になりました。これを知っているだけでも全然違うと思います。

実技の資格(準1級、1級)も取らないと意味がないと思い、過去問を何回も解きました。最初は設計をしているわけではないので、時間内に3方向の図面から3次元モデルを作れなかったのですが、繰り返し練習すると「できるようになってきた!」と分かってくる瞬間があり、うれしかったです。2級を受かってから次の半年後の実技の試験は受けようと思い、真面目にコツコツ勉強し、準1級に合格しました。1級はさらに早さが求められると思っています。

   

―独学で勉強されて準1級を取られたのは素晴らしいと思います。最後に、今後やってみたいことがありましたら教えてください。

豊原さん: やりたいことはたくさんあります。CADに関しては社内でもう少し3次元を広げていきたいと思っています。また実はコーチングの資格をもっているのですが、現在は実施していないので使える方法はないかな、と思っています。もちろん3Dプリンターも自宅で趣味として活用していきたいと思います。

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興味を持ったことを積極的に勉強し自分のものにしていく豊原さん。インタビュー中もずっと笑顔でバイタリティあふれる素敵な方でした。ご協力ありがとうございました。