ACSP 一般社団法人コンピュータ教育振興協会

CADエンジニアの先輩に聞く

vol.8 鈴木美里さん

2020.6.8

大学で日本文学を専攻していた鈴木美里さん。CADによる自動車部品の設計を仕事にしたきっかけは、新卒で就職した企業で、たまたま見かけたCADを「面白そう」と思ったことでした。


鈴木美里さん
鈴木美里さん(Zoomの画面キャプチャ)

――大学で機械設計とは全く異なる分野を専攻されていた鈴木さんが、どのようにCADに興味をもち、仕事にされたのかを教えてください。

鈴木さん:卒業後、発電所の設計も行っている企業に事務職として就職したのですが、そこでCADを使って太陽光パネルの設計をしていたのを目にして、こういう仕事もあるんだ、と興味を持ちました。そこで、CADの講座を探し、仕事をしながら2DCADの勉強を独学で始め、面白いなと思い仕事にすることを考えました。都合の良い時に勉強できるオンライン形式だったので、勉強と並行して転職活動を行いました。

――転職後すぐにCADの仕事を始められたのですか?

鈴木さん:実務経験がなかったので一から教えてくれる会社を探し、現在の派遣会社のエンジニアリング部門に採用されました。入社後の教育プログラムで3次元CADの研修を1ヶ月ほど受け、そこで初めて3次元CADを触りました。最初の就業先も自動車関連のメーカーでした。習った3次元CADソフトウェアと異なるソフトだったので、最初は教えてもらいながら1年間、燃料タンクまわりの部品の設計補助をしました。

現在は、自動車の足周り部品を開発・製造する会社でサスペンションの設計に関わっています。3次元CADで、モデリングや図面を描いたり修正しています。開発は、モデリング⇒試作品製作⇒実験と続き、その結果に応じて、例えば強度を高めるためにここを修正しよう、などとモデルを修正し、さらに試作、実験を繰り返し行っていきます。今の職場は、隣にある工場で試作品を製作し、実験も行うので、立ち会うこともあります。

――楽しそうですね。CADや現在の仕事のどんなところがお好きですか。

鈴木さん:CADは自分の思っている形をPC上で表現できるのが面白いですね。また、自動車は、驚くほど多くの部品があり、それらの部品が動作しても干渉せず、かつ強度や耐久性等の品質を考慮して、最適な間隔で隙間なく組み立てられできています。お客様ごとに決められた品質目標に適するように開発していくのです。このような、部品を設計、試作し、組立て、実験し解析していく過程にも面白みを感じています。

――現在の業務ではCADはもちろんだと思いますが、それ以外に求められるスキルがありますか?

鈴木さん:一般的なことかもしれませんが、指示される内容を正しく理解することが求められると思います。設計指示はミリ単位で受けることもありますが、細かい仕様が決まっていない、とりあえず試作品を作る場合もあり「君が思ういい感じで作って」と言われることもあります。こういう時も、指示の意図を汲み取りコミュニケーションを取りながら対応しています。

――CADの仕事で良かったと思われることはありますか?

鈴木さん:転職のしやすさがあると思います。私も就業先が変わりましたが、業務内容がそれほど変わった感じはしません。ソフトが同じであれば4割は問題なく、残り6割頑張れば仕事をしていけると思います。新しい仕事に入りやすいと思います。

――最後に、今後学びたいことややりたいことなどありましたら教えてください。

鈴木さん:CADとは関係ないですが、語学に力を入れたいと思っています。現在の就業先は、中国、ベトナム、フィリピンといった海外の方と一緒に働いています。仕事上は日本語なので問題ないのですが、以前よりも海外を身近に感じ、語学に興味を持ちました。


興味の惹かれるものに積極的に取り組み自分のものにしていく鈴木さん。今の設計のお仕事について楽しそうに話されているのが印象的でした。お忙しいところご協力いただき、ありがとうございました。