ACSP 一般社団法人コンピュータ教育振興協会

3DCAD利用技術者100人に聞きました

Part3 みなさん、3Dプリンターを使ったことありますか?3Dプリンターに興味ありますか?

new2019.7.29

数年前には家庭用のプリンターの一つとして3Dプリンターを所有して好きなものをDIYできる、など3Dプリンターに期待するニュースを数多く目にしました。また、現在でもハイエンドな3Dプリンターによる航空産業、建築や医療分野における先進的な事例や、より安価で使いやすい個人向け3Dプリンターが紹介されていますが、実際のところどうなのだろう? ということで、ものづくりに関わる仕事をされているCAD利用技術者試験の受験者のみなさん(以下CAD受験者)に利用調査アンケートを行いました。さらにACSPが実施している3Dプリンター活用技術検定試験の受験者のみなさん(以下3DP受験者)にも聞きました。(有効回答数 123)


製造業以外の業種への普及が伺えるものの、CAD受験者は関心が低い?

アンケートの回答内容の前に驚いたのが、CAD受験者の回答率の低さです。何と「0.75%」。年に数回実施するアンケートでは、高い時には10%近く、低くても3~4%の回答率です。今回、ほぼ同内容のアンケートを実施した3DP受験者の回答率は8%と平均値だったことをみても、ほとんどのCAD受験者は3Dプリンターに触れる機会や、興味がないことが推測されます。

それでは回答者の属性から見てきましょう。 CAD受験者のおよそ5割は製造業です。機械から、自動車、科学、航空、精密と造られている製品は多岐に渡ります。 3DP受験者は製造業が多いものの、ソフトウェア/SI、教育関連、建設・建築、医療関連と製造業以外の方も一定数います。

【CAD受験者/業種】

【3DP受験者/業種】

職種は、CAD受験者は設計/デザインが特出して多く、3DP受験者は設計/デザインと研究/開発が同数で1位です。

【CAD受験者/職種】

【3DP受験者/職種】

今回の調査目的の3Dプリンターの利用については、それぞれに見ていきます。

CAD受験者への質問は「3Dプリンターへの関与や興味について」です。
「興味はあるが使ったことはない」という回答の方が、他を圧倒して1位でした。そもそもこのアンケートへ回答するという時点で、多少興味のある方なので一定数いることは想定されますが、仕事で使っている/使っていた方が少ないのが意外です

【CAD受験者/関与や興味に関して】

仕事で使っている/使っていた方の利用目的はこちら。
最終製品以外での利用が多いようです。

【CAD受験者/利用目的に関して】(複数回答)

また、使ったことがない方へ理由を聞きました。
「きっかけがない」が1位で、「費用対効果がわからない」が2位です。仕事で使う立場になれば使うが、率先して使うほどのメリットがわからない、ということでしょうか。

【CAD受験者/使ったことがない理由】(複数回答)

さらに3Dプリンターサービスビューローとその付加サービスについて。
使用していない方が多いので当然かもしれませんが、ほとんどの方がどのサービスビューローも知らないようです。また実際に利用したサービスビューローも聞きましたが、数件ある程度でした。後述の3DP受験者と大きく異なる結果です。

【CAD受験者/知っているサービスビューローについて】(複数回答)

付加サービスは3Dデータ作成に関わるサービスへの期待が大きいのが見受けられます。

【CAD受験者/サービスビューローに期待する付加サービスついて】(複数回答)

それでは、3DP受験者の利用はどうでしょう。

3Dプリンターのメインとなる関わりについては、「個人ユーザとして」、「サービス/販社として」、「製造品の設計・開発・生産で使用している」が、ほぼ同じ割合です。

【3DP受験者/メインになる関わりについて】

3DPに関わっている方ばかりなので当然ですが、サービスビューローの認知度も高く、実際に利用された件数も多数ありました。

【3DP受験者/知っているサービスビューローについて】(複数回答)

サービスビューローの付加サービスについては、データ作成への期待が1位と高いものの、塗装や研磨サービスなど、後工程に関わるサービスへの期待の高さも伺えます。

【3DP受験者/サービスビューローに期待する付加サービスついて】(複数回答)

CADを使って仕事をされている方へのインタビューでは、3Dプリンターを使用しているという話がでることがあるので、ある程度の方が3Dプリンターを使っていると想像していたのですが、使用している方が少ないという今回の結果には驚きました。一方で、すでに導入している企業ではサービスビューローを利用しながら3Dプリンターを着実に活用しており、導入していない企業との格差が広がっていることが推測されます。またサービスビューローへ期待するサービスの回答結果から、3Dデータの作成が課題であることが分かります。すでに活用している企業、またこれから活用する企業ともに、3次元CADの積極的な導入やそのための知識や技術を持つ人材が重要になっているのではないでしょうか。
アンケートの回答にご協力いただいたみなさま、ありがとうございました。